森 美樹(管理栄養士)
茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。 食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。
味噌はダイエット効果がある?
発酵食品である調味料、味噌に健康的なイメージを持っている人は多いでしょう。
しかし味噌は健康だけでなく、ダイエットにも効果が期待できる食品なのです。
まずは、味噌がダイエットに有効である理由を解説します。
味噌汁のダイエット効果
味噌をダイエットに活用するならば、味噌汁として食事に取り入れることがおすすめです。
味噌汁にすると、味噌自体が持つ栄養だけでなく、味噌汁に加える具材の栄養や効能も取り込むことができるでしょう。
味噌汁に期待できるダイエット効果には、次のようなものがあります。
腸内環境を整える
発酵の過程を経て作られる味噌には、麹菌や乳酸菌、酵母菌といった微生物が豊富です。
味噌汁を食べるとこれらの菌は腸に届き、腸内環境を整えるサポートをしてくれます。
味噌の原料である大豆に含まれる、大豆オリゴ糖にも注目です。
大豆オリゴ糖は腸内細菌のエサとなり、腸内の善玉菌を増やしてくれます。
味噌汁に具材として野菜を加えると、野菜の食物繊維を摂取できます。
腸の中で水分を吸収して膨らみ、腸を刺激して排便を促し、腸内環境の正常化を助けることが食物繊維の働きです。
腸内環境が整い、活発になった善玉菌は短鎖脂肪酸を作り出します。
腸から吸収されて全身に運ばれる短鎖脂肪酸には、体の細胞が脂肪を取り込もうとする働きをおさえる作用があることがわかっています。
腸内環境が整い善玉菌が増えると、脂肪の蓄積がおさえられ、肥満を予防できるのです。
代謝がよくなる
最近は体温が低めの人が増えており、1年中冷え性で悩んでいる人も珍しくはありません。
体温が低いと、基礎代謝が低下してしまいます。
基礎代謝とは、生命維持に必要な最低限のエネルギー消費、つまり何もしていなくても消費されるエネルギーのことです。
基礎代謝が上がれば日常生活で消費されるエネルギーが増えるため、痩せやすい体になると言えるでしょう。
味噌汁を飲んで温かい食べ物が胃腸に入れば、体が内側から温まり、低下していた体温が上がります。
体温が上がれば基礎代謝も上昇して、日常生活での消費エネルギーが増加するため、痩せやすい体を作ることができるでしょう。
低カロリーでも満足感がある
味噌汁は水分が多くてお腹にたまりやすいので、高い満足度を得られます。
それにもかかわらず、摂取エネルギーを低くおさえられることが味噌汁のメリットです。
味噌汁の具材は野菜や海藻、豆腐といった低エネルギーの食材が中心となるため、たっぷり具材を加えてもエネルギーが高くなりすぎることはあまりありません。
味噌汁は、ダイエット向きな食べ物であると言えるでしょう。
味噌汁ダイエットのポイント
ダイエット効果が期待できる味噌汁を活用して、減量に取り組んでみませんか。
ここからは、味噌汁をダイエットに取り入れる際のポイントをお伝えします。
朝の味噌汁は高たんぱくに!
たんぱく質といえば、筋肉作りに必要な栄養素というイメージが強いでしょう。
筋肉量が増えれば基礎代謝が上がり、消費エネルギー量が増加してダイエットにつながります。
しかし朝に摂るたんぱく質には、それ以上の効果があるのです。
たんぱく質は、アミノ酸がつながって構成される物質です。
アミノ酸の一種であるトリプトファンには、体内時計を調整する働きがあります。
体をしっかり目覚めさせて、朝から活動的に過ごすには、朝食でのトリプトファン摂取が大切です。
また、食事を摂ったときに体がぽかぽかと温まった経験がある人は多いでしょう。
人間は食事を摂ると体温が上がり、自然とエネルギー消費量が増えます。
たんぱく質は、糖質や脂質に比べてエネルギー消費量が多いため、たんぱく質を摂取すればより多くのエネルギーを消費できるのです。
朝の味噌汁におすすめの具材
朝の味噌汁に加えてほしい、たんぱく質が豊富な具材はサバ缶です。
サバ缶は火を通す必要がないので、忙しい朝でも味噌汁に入れてすぐに食べられます。
たんぱく質だけでなく、n-3系脂肪酸のEPAとDHAを豊富に含んでいる点も、おすすめのポイントです。
これらの脂肪酸は、血液中の中性脂肪を減らす効果が期待できます。
またn-3系脂肪酸は、GLP-1の分泌を促す作用があると考えられています。
GLP-1は血糖値の上昇を緩やかにしたり、食欲をおさえたりする作用があるため、ダイエット効果が見込めると考えられているホルモンです。
サバ缶は汁ごと味噌汁に加えて、サバの栄養素やうまみをまるごと摂取してください。
夜の味噌汁は食物繊維多め!
夜遅くに食事を摂ると、消費されるエネルギーが少ないため、余ったエネルギーが脂肪として体に蓄積されやすくなります。
夜に食べる味噌汁の具材は、食物繊維が豊富でエネルギーが低いものを選びましょう。
就寝前などの夜遅い時間に食事を摂ると、血糖値が上がりやすくなることがわかっています。
血糖値を下げるホルモンであるインスリンは、血液中の余分な糖を脂肪に変えて、体に溜め込む働きがあります。
血糖値が高くなると、その分インスリンの分泌量が増えるため、体に脂肪がつきやすくなってしまうのです。
しかし食物繊維には食後の血糖値上昇を緩やかにする作用があるため、インスリンの分泌をおさえて、体脂肪の蓄積を防ぐ効果が期待できるでしょう。
夜の味噌汁におすすめの具材
夜に食べる味噌汁におすすめの具材は、わかめです。
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、わかめには水溶性食物繊維が豊富に含まれています。
血糖値の上昇をおさえる作用が高いのは、水溶性食物繊維です。
水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなり、善玉菌を活発にする作用も持ち合わせています。
わかめなどの海藻類は低カロリーである点も、夜に食べる味噌汁の具材におすすめしたい理由です。
お味噌汁に合わせるおすすめの献立
味噌汁は健康維持やダイエットにデトックス効果があるためダイエット中の欠食は避けましょう。
特に、これから体を動かして高い集中力を維持しなければならない朝食や昼食では、エネルギーをしっかり確保する必要があります。
糖質が含まれるご飯を適量食べて、きちんとエネルギーを摂取してください。
また、忙しくて食事の時間が十分に取れない方も、ご飯と具だくさんの味噌汁でバランスの良い食事が完成します。
ダイエット中であれば、油を使う炒め物や揚げ物は控えて、蒸し調理やゆで調理された料理がおすすめです。
夕食を食べすぎると、翌朝お腹がすかず、朝食を抜いてしまう恐れがあります。
夜遅くに食事を摂る必要がある場合は、脂質を控えた消化のよい食事を心がけてください。
具体的には鶏肉やゆで卵、豆腐などの食材がおすすめです。
OMISONOMORIおすすめダイエットお味噌汁レシピ
お味噌汁の作り方はお椀に適量のお味噌を入れて、お湯または出汁で溶かすだけで完成です。
OMISONOMORIのお味噌は、具を入れなくても十分に楽しめますが、栄養価を更に高めるために具材を加えることもおすすめします。
※合わせるおすすめのお味噌や具材は私の好みですがお好みのものを入れて楽しんでみてください。
【朝食編1】~トマトと生姜、溶き卵のお味噌汁~
材料
- お湯/だし汁 100~150ml
- 味噌 大さじ1
- ※OMISONOMORIでは米#1、麦#7がおすすめ
- トマト 1/2~1/4個
- 卵 1個
- 生姜 1かけ
作り方
- トマトをくし形またはサイコロ状にカットし、だし汁に入れて煮立てます。
- 生姜はすりおろしか千切り、好みの切り方で追加します。
- 卵を溶き、回し入れて火を止める。
- お椀にお味噌を入れて、1を注ぎ、具を入れ完成です。
トマトのリコピンの抗酸化作用・生姜で体の内部を温め活力向上・良質なたんぱく質の卵、おみそとの相互作用によって、血圧の上昇を抑え、抗酸化作用、体の芯から温める効果を期待できます。
【朝食編2】~モッツアレラチーズと大葉~
材料
- お湯/だし汁 100~150ml
- 味噌 大さじ1
- ※OMISONOMORIでは米#2、米#3がおすすめ
- モッツァレラチーズ 1/2個(一口サイズであれば3~5個)
- 大葉 1枚
作り方
- お湯/だし汁を煮立てます。
- 大葉1枚をちぎる、または千切りにしておきます。大きめのチーズの場合は食べやすい大きさにカットします。
- お椀にお味噌を入れて1で溶き、大葉とチーズを入れ完成です。
農林水産省もおすすめしている「味噌×チーズ」植物性たんぱく質×動物性たんぱく質は理想的な組み合わせ。
この相性に足りないのが食物繊維。ビタミンとともに食物繊維豊富な大葉を加えて免疫力アップ、自分に優しいスープの完成です。
【朝食編3】~豆乳豚汁~
材料
- お湯/だし汁 50~100ml
- 豆乳 50ml
- 味噌 大さじ1
※OMISONOMORIでは米#4、米#3と#4のハーフ&ハーフがおすすめ - 豚こま肉 30g~50g
- 大根 20g
- 人参 20g
- こんにゃく 20g
- 材料は水煮を活用すると便利です
作り方
- お湯/だし汁を煮立てます。
- 豆乳50mlを入れて弱火にします。
- 大根・人参はいちょう切りにし、こんにゃくは一口大にちぎって、豚肉と一緒に1に入れる
- お椀にお味噌を入れて、1で溶き完成。
健康的な「うつくしさ」を目指す方必見のお味噌汁
大豆のすばらしさを凝縮した、ダイエットにも最適なスープです。
米みそには美肌効果が期待できる米糀が使用されているので、ダイエットによる肌荒れなども予防して、健康維持しながらキレイになれる最強スープ。
夕食におすすめの心に優しいスープ※夕食は就寝時間の3時間前に済ませるのがお勧めです。
【夕食編1】~半熟卵・絹豆腐~
材料
- お湯/だし汁 100~150ml
- 卵(温泉卵/ポーチドエッグでも可) 1個
- 味噌 大さじ1
※OMISONOMORIでは米#1、米#2、麦#4がおすすめ - 絹豆腐 1/6~1/8丁
- 万能ねぎ 少々
作り方
- お湯/だし汁を煮立てます。
- 別容器に割り入れた卵を煮たてた鍋にそっと落とし、3周ほど鍋の縁に沿って混ぜて渦を作ります。
- 弱火にして2分ほど茹でて取り出します。
- 茹でた鍋に豆腐を崩しながら入れて煮立てます。
- お椀にお味噌を入れて、1で溶き卵を戻します。
- 万能ねぎを入れて彩りと食感を加えて完成です。
1日頑張った体に優しい栄養満点スープ。
絹ごし豆腐は滑らかな舌触りとエネルギー(kcal)の低さ、水溶性のカリウム・ビタミンB群が木綿豆腐より含まれています。
旨みとともに栄養価の高い卵をプラスして、ホッとできるお味噌汁を提案します。
【夕食編2】~アボカド・たまねぎ~
材料
- お湯/だし汁 100~150ml
- たまねぎ 1/2個
- 味噌 大さじ1
※OMISONOMORIでは米#3、米#4、麦#5がおすすめ - アボカド 1/2個
冷凍だと便利です
作り方
- お湯/だし汁を煮立てます。
- 玉葱の繊維を断つように薄切り、または、アボカドと一緒に角切りにします。
- たまねぎとアボカドを鍋に入れ、玉ねぎに火が通るまで煮込みます。
- お椀にお味噌を入れて、1で溶いて完成です。
- お好みで溶けるチーズを入れても美味しいです。
塩分を摂りすぎてしまった・・・という方におすすめ。
アボカドは、カリウムを豊富に含み、むくみを防止、脂溶性のビタミンEによる細胞の酸化防止、そして水溶性食物繊維によって血糖値を穏やかに、不溶性食物繊維によって排便を促す効果があります。
玉葱との相乗効果で疲労回復効果も期待できます。
【夕食編3】~きのこ類・しらす~
材料
- お湯/だし汁 100~150ml
- お好きなきのこ 50g
- 味噌 大さじ1
※OMISONOMORIでは米#1、米#2、麦#4がおすすめ - しらす ひとつまみ
作り方
- お湯/だし汁に好きなきのこ類を入れて煮立てます。
- 食材に火が通ったら、火を止めます。
- 弱火にして2分ほど茹でて取り出します。
- お椀にお味噌を入れて1で溶きます。
- しらすをひとつまみのせて完成です。
きのこに含まれているビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きがあるため、小魚や 乳製品などと一緒に摂取することをおすすめします。
時間栄養学によると、夕食は糖質・脂質を控え食物繊維やカルシウムを積極的に摂ることが推奨されています。
幸せホルモンと言われる「セロトニン」の材料となる「トリプトファン」を含む「しらす」とお味噌には含 まれている為、睡眠の質を上げるためにも効果的です。
まとめ
今回は、味噌のダイエット効果について解説しました。
健康的なダイエットにはみそ汁が不可欠です。
味噌汁を飲むと腸内環境が整えられ、善玉菌の働きで脂肪の蓄積をおさえる効果が見込めます。
温かい味噌汁を飲んで体温を上げて、基礎代謝を上昇させましょう。
お腹が満たされ、低カロリーで満足感が得られます。
さらに味噌汁で効果的にダイエットを進めるなら、朝に飲む味噌汁は高たんぱくに、夜の味噌汁には食物繊維を多く加えることをおすすめします。
日本の伝統的な食品である味噌汁は、健康維持に必要な栄養素を補いつつ、ダイエットにも効果が期待できる理想的な食べ物です。
積極的に食事へ取り入れて、健康の維持やダイエットに活かしてください。