味噌は栄養の宝庫?味噌に含まれる栄養価を解説

味噌は栄養の宝庫?味噌に含まれる栄養価を解説

監修者

森 美樹(管理栄養士)

茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。 食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。

味噌に含まれる栄養とは

日本人にとって、身近な調味料の一つとして親しまれてきた味噌ですが、調味料として有能なのはもちろんのこと、その栄養価にも関心が高まっています。

では、実際に味噌に含まれる栄養素には、どのようなものがあるのでしょうか。

味噌の主な栄養価

味噌は、大豆・麹・塩を発酵、熟成させて作ります。

その発酵過程で、本来大豆には含まれない(また、含まれていたとしてもほんのわずかな)アミノ酸やビタミンなどが大量に生成されます。

発酵の過程を経ることにより、味噌は、大豆で摂取するよりもずっと栄養価が高くなるというわけです。

たった一つ、「味噌」という調味料を使うだけで、人間にとって必要な栄養素をたくさん摂取できるのですから、味噌は非常に優秀な食品と言えます。

それでは、実際に味噌に含まれる栄養素にはどのようなものがあるのでしょうか。

たんぱく質

大豆を発酵する過程で、大豆たんぱく質のうち、約60%は水に溶け、約30%はアミノ酸となります。

このアミノ酸の中には、体内では生成できない9種類の必須アミノ酸 が全て含まれています。

また、味噌という形態にすることによって、たんぱく質をより吸収しやすい形になるのも嬉しい特徴です。

イソフラボン

イソフラボンは、体内で女性ホルモン「エストロゲン」に似た働きをするため、特に女性の若々しさや美しさを保つ効果があります。

エストロゲンは加齢とともに分泌量が低下し、これが更年期症状を引き起こすのですが、イソフラボンを摂取することにより、辛い更年期症状が緩和されます。

また、イソフラボンは骨粗しょう症予防にも効果的であることがわかっています。

レシチン

レシチンは、コレステロールの吸収を抑制するため、動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの予防に非常に効果的です。

また、細胞を若々しく保つ効果もあります。

サポニン

サポニンにも、コレステロール値を低下させる効能があるため、動脈硬化を防いだり、血圧の上昇を抑制したりする効果が見られます。

また、脂質が酸化するのを抑制したり、脂質の代謝を促進したりする効果もあります。

メラノイジン

メラノイジンには、抗酸化作用が含まれており、生活習慣病の予防に効果を発揮します。

リノール酸

リノール酸には、血中コレステロールの上昇を抑制する効果があります。

また、発酵の過程でリノール酸は遊離リノール酸に分解されますが、この遊離リノール酸にはメラニンの生成を抑える効果があるので、シミ予防に役立ちます。

カルシウム

カルシウムは、骨や歯を構成する主要な成分です。

また、神経興奮の抑制や、血液凝固作用の促進などの役割も果たしています。

食物繊維

食物繊維には、腸内環境を整える効果があります。

また、食後の血糖値が上昇するのを抑制するのにも効果があります。

ビタミンE,B2

ビタミンEには抗酸化作用が、そしてビタミンB2には皮膚や粘膜を再生する効果があります。

また、ビタミンB2には、ビタミンEの働きを助ける効果もあるので、この二つを一緒に摂取できる味噌は非常に効率が良いと言えます。

味噌の栄養を効果的にとるには

さて、せっかくこのように栄養価の高い味噌なのですから、できるだけ効果的に体内に取り入れたいものです。

では、味噌の栄養を効果的に摂取するには、どのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。

加熱しすぎない

まず、味噌は過熱し過ぎないように調理することが大切です。

なぜなら、味噌に含まれる酵素は熱に弱いからです。

味噌汁を作るときには、火を止めてから味噌を溶き入れるようにしましょう。

また、加熱しなければならない場合には、気泡が出てきた時点ですぐに火を止めるようにするのがコツです。

イモ類やきのこ類と食べる

また、味噌と合わせる食材もいろいろと工夫することができます。

味噌はさまざまな食材と相性が良い万能調味料ですが、組み合わせる食材によって、味噌単独で食べるよりも、良い効果を得ることができます。

たとえば、腸内環境を整えるには、イモ類やキノコ類と味噌を組み合わせるのがおすすめです。

イモ類 にはビタミンCや食物繊維が多く含まれているので、味噌と合わせて調理することで、腸内環境を整える効果が期待できます。

また、きのこ類 にも食物繊維が豊富です。

たとえば、えのきの食物繊維には、腸内の善玉菌を増やす効果がありますし、まいたけやなめこには、水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維の両方が含まれているため、両方のタイプの食物繊維を摂取できるというメリットがあります。

組み合わせる食材によって、さまざまな相乗効果が見られるのが、味噌を使った調理法の魅力です。

 

味噌を定期的に摂取する効果

栄養価が非常に高く、健康を維持するために効果的な上、美容効果も期待できる味噌を摂取することは、私たちにとってプラスになるということは言うまでもありません。

人間の体内で、さまざまな味噌の効果が最大限に発揮されるためには、やはり、味噌を定期的に摂取しておきたいものです。

健康面での効果

それでは、まず味噌の健康面での効果をご紹介します。

高血圧の抑制

味噌は、塩分を多く含むことから、血圧を上昇させてしまうのではないかと懸念されてきた食品でもありました。

しかし、近年の研究結果から、味噌を食べても血圧は上昇せず、むしろ、味噌には、血圧の上昇を抑制する効果が見られることがわかってきています。

また、体内から塩分を排出する効果のあるカリウムや食物繊維を多く含む食材を味噌と組み合わせることにより、さらに血圧上昇を抑えることができます。

日本人の食卓には欠かせない味噌汁の具材に、カリウムを多く含むたまねぎやジャガイモ、食物繊維を多く含むワカメが良く使われるのは、非常に理にかなっていると言えます。

がんの発生リスクが下がる

また、味噌の摂取は、がんの発生リスクを低下させる効果も見られます。

国立がんセンター研究所の研究結果では、味噌汁を飲む頻度が高い人ほど、胃がんによる死亡率が低いことがわかっています。

厚生労働省の研究でも、大豆製品の摂取と乳がんの発生率に大きな関係があるということがわかってきました。

たとえば、味噌汁を摂取している割合が高い人ほど、乳がんの発生率が低いという研究結果が出ています。

骨を強くする

味噌にはカルシウムも含まれています。

カルシウムは健康な骨や歯を構成するのに欠かせない成分ですが、たとえば、味噌汁にして摂取すれば、だしに使う煮干しやかつお節、具材によく使う豆腐やわかめにもカルシウムが豊富に含まれているので、たくさんカルシウムを摂取することができます。

骨を強くするためにも、味噌はおすすめの食品です。

美容面での効果

そして、味噌には大きな美容効果も期待できます。

美白、美肌効果

まず、味噌に含まれる遊離リノール酸がメラニンの生成を抑える効果があるというのは前述のとおりです。

しみやそばかすの原因物質であるメラニンの生成が抑制されることで、しみやそばかすができにくい肌になります。

つまり、味噌は美白にも大きく効果を発揮します。

また、味噌に含まれる植物性乳酸菌は、ヨーグルトなどに含まれる動物性乳酸菌よりも、生きたまま腸に届く確率が高いとされています。

この植物性乳酸菌が、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。

腸内環境が整えば、肌荒れの予防につながり、美肌効果が得られます。

このように、味噌には大きな美白・美肌効果が認められています。

まとめ

味噌が体のためになる食品であり、栄養価の高い食品であることを示すのに「味噌は医者いらず」という言葉があります。

その言葉が示すように、味噌にはさまざまな栄養素が含まれている上、健康にも美容にも大きな効果があります

味噌は中国から伝わって以降、はじめは貴族階級など特別な人しか食べられない貴重なものでしたが、室町時代ごろから、庶民の食生活に浸透し始め、今では日本人の食生活になくてはならないものとなっています。

2013年に、和食はユネスコ無形文化遺産にも登録されました。

和食に欠かせない食材・食品は、数多くありますが、その中でも、味噌は、日本を長寿大国にした立役者の一つと言ってもよいでしょう。

味噌はさまざまな食材と相性が良い万能調味料です。

味噌それ自体にもさまざまな効能がある上、味噌汁、味噌煮、味噌炒めなど、バリエーション豊かな調理法があり、食材の美味しさを引き出します。

さらに組み合わせる食材によって、その効果は無限大に広がります。

味噌の美味しさと栄養価を最大限に生かし、豊かな食生活を実現させましょう。

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