森 美樹(管理栄養士)
茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。 食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。
生活習慣病と食習慣
増え続ける生活習慣病
「成人病」という言葉をご存じでしょうか。
かつて、働き盛りの40代以降に発症することが多かった「がん」「脳卒中」「心臓病」を「成人病」と呼んでいました
現在は「生活習慣病」と呼ばれ、世界的に大きな課題となっています。
「糖尿病」「脂質異常症」「高血圧症」「動脈硬化」などよく聞く病名が「生活習慣病」に含まれ、未だに増加し続けている「生活習慣病」日々の食事、運動、喫煙、飲酒など私たちが何気なく過ごしている時間の積み重ね方によって発症する病気です。
健康補助食品やサプリメント、健康に関する情報が溢れている今もなおなぜ増え続けているのでしょうか。
人の食習慣はいつごろから定着しているのかを調べた結果、なんと、離乳開始時期から始まっていることが分かりました。
ライフステージごとの予防策
今回、私は、誕生してから順にライフステージを追って「生活習慣病」を予防する解決策を探っていこうと思います。
乳児期~幼児期
出生直後から1歳半くらいまでを【乳児期】と呼びます。
そして、母乳やミルクだけではエネルギーや栄養素が不足してくる【離乳期(生後5~6か月頃)】になると、それを補うために、少しずつ、硬さや形のある食事を開始します。
【離乳期】のポイントは、調味料を使用せず、素材の味を活かした薄味にすることです。
また、ミルクから卒業する1歳前後~就学前を【幼児期】と呼びますが、【幼児期】になると、大人と同じ食事に移行していく時期となります。
大人と同じ食事ができるようになるこの時期の食事が、今後の食生活に影響していくのです。
私たちは生まれた時から「甘味・酸味・塩味・辛味・旨味」を感じているようです。
離乳期~幼児期の食体験は味覚の発達に関与し、嗜好が形成されます。
エネルギー源となる食べ物の甘味や、生きる上で重要なミネラル「ナトリウム」は、本能的に好まれ、過剰摂取になりがちです。
今後の食習慣に関わる【幼児期】に「うす味」「素材の味」を記憶させ、様々な食べ物、多くの味を経験させてあげることが、幅広い味覚の形成と偏らない嗜好の形成の支援になります。
学童期~青年期
次に【学童期】5~12 歳【青年期】12~18 歳についてです。
この時期は、食習慣が確立されstrong、好き嫌いなど個人差が大きくなります。
生活範囲も広がり、外食の機会も増えて、食管理が難しくなりますが、【学童期】【青年期】の食生活が、実は、生活習慣病に影響すると言われているのです。
つきっきりで管理してあげたい親心、しかし思春期を迎える彼らの食事を管理することは、とっても難しいことですよね。
「把握できないから仕方ない…」とあきらめるのではなく、この時期にできるポイントは、濃い味や化学調味料の味は嗜好品として、家で食べる食事で味覚の調整してあげることが重要だと考えています。
成人期
では、【成人期】以降はどうすればよいのでしょうか。
実は簡単!調味料の「質」を変えて、素材が活かされる調味料の「適量」を知ることです。旬野菜の新鮮な甘味・旨味・みずみずしさ。
いきの良い魚の食感・舌触り・旨味や香り。
勢いのあるお肉の色味・香ばしい香り・噛むほどに旨みを感じるジューシーなお肉。
想像するだけでお腹が空きますね。
食材にこだわり、調味料の質を変えるだけで最高の主菜・副菜になるのです。
しかし、美味しい市販食品の存在や外食の機会のある私たちは誘惑がいっぱい。
お仕事での会食や友人たちとの食事会が重なる日は、1 日のバランスを考え、会食以外の食事で調整することをお勧めします。
そして、翌日の食事をできるだけ粗食にして、内臓を休ませることが大切です。
関連ブログ:減塩味噌とは?減塩味噌に変えるメリット・デメリットを紹介
予防と「減塩」
生活習慣病予防の1つとして、「減塩」という言葉を毎日のように目にし、耳にします。
「減塩」は、極端な塩分制限ではなく、今の食事を見直し、出来ることからコツコツと、自分にやさしい食習慣に変えていくことを目標とします。
食に選択肢を多くもつ私たちは、健康に投資し、「自分の健康は自分で守ること」「自分の体に優しく生きること」が大事です。
その毎日の積み重ね、「習慣化」させることが、健康維持に繋がります。
『食習慣を変えて、人生を変える』「健康であること」がすべての土台である。
これが OMISONOMORI の基本的な考え方です。
今の欲求を満たすだけの安価な食事ではなく、簡単で、継続しやすい、日本人にとって必要不可欠な「和食」を基に、毎朝 1 杯のお味噌汁から 1 日を開始するような、丁寧な暮らしを OMISONOMORI では提案していきたいと考えています。