麹とは?味噌との関係を解説!

麹とは?味噌との関係を解説!

監修者

森 美樹(管理栄養士)

茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。 食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。

麹とは

多くの味噌は、大豆・塩・麹から作られます

麹は塩麹や甘酒作りなどでも使われるため、名前を聞いたことがある人は多いと思われますが、麹とは何か説明できる人は少ないのではないでしょうか。

この記事では味噌の原料のひとつ、麹に迫ります。

麹とは

味噌や塩麹といった発酵食品を作るときを除いて、麹そのものが日常生活に登場することはほとんどなく、麹とはどのようなものか思い浮かべられる人は少ないでしょう。

しかし麹は日本ならではの味わいに不可欠な存在です。

麹は菌のひとつ

麹は、米・麦・大豆などに麹菌という微生物を付着させ、繁殖させたものです。

麹菌は、麹かびという別名から分かるように、カビ菌の一種に分類されます。

カビというと食べ物を腐らせたり、アレルギーの原因となったり、人間に悪影響を与えるイメージがあるでしょう。

しかしなかには、カマンベールやゴルゴンゾーラなど、チーズに繁殖して好ましい味わいを作り出すカビ菌もいます。

甘口のデザートワインとして知られる貴腐ワインは、カビの働きによって脱水され、高糖度となったブドウを原料としています。

このように、人にとって有用なカビ菌のひとつが麹菌なのです。

麹の成分とは

麹には、米や麦などが持っている成分だけでなく、麹菌が作り出したさまざまな物質が含まれています。

麹を原料とする食品の豊かな味わいは、麹菌が作り出した酵素のおかげと言えるでしょう。

酵素のひとつであるプロテアーゼは、たんぱく質を分解してアミノ酸にします。

アミラーゼという酵素は、でんぷんをブドウ糖に分解します。

麹菌が作り出した酵素によるこれらの反応が、いわゆる発酵です。

アミノ酸はうまみに、ブドウ糖は甘みになるため、発酵によりうまみや甘みがたっぷりつまったおいしい味噌ができあがるのです。

麹の種類

麹の種類は、麹菌を何に繁殖させるかによって変わります。

蒸した米に麹菌を繁殖させたものを、米麹と言います。

同様に、麦に繁殖させたものが麦麹、大豆に繁殖させたものが豆麹です。

一口に味噌と言っても、原料に使用する麹の種類によって味わいが変わってきます。

麹味噌とは

スーパーで販売されている味噌のパッケージを見ると、麹味噌と書かれた商品と、書かれていない商品があります。

ここからは、この両者の違いについて解説していきます。

普通の味噌との違い

麹味噌と名前がつくと特別な味噌のように感じますが、麹味噌に定義はありません。

そもそもすべての味噌は、原料に麹を使用しています。

それにも関わらず、麹味噌の名前を採用している商品からは、作り手の麹にこめた強い思いが感じ取れます。

麹菌を繁殖させて麹を作る工程は、温度や湿度などの細やかな環境管理が必要で、手間のかかる作業です。

丁寧に作られた、こだわりの麹を使った味噌は、麹味噌の名前がふさわしいでしょう。

味噌の原材料のうち麹の割合が多く、うまみや甘みをしっかり感じる味噌に、麹味噌の名前をつける場合もあるかもしれません。

作り手が思いをこめて、手間暇かけて作った味噌が麹味噌であるならば、普通の味噌は大手メーカーが工場で量産する味噌であると考えられます。

量産された味噌は品質や味が安定していて扱いやすいのですが、香りや味に個性が感じられません。

しかし麹味噌にはそれぞれ特徴があり、色や香り、味わいはまったく別物のように感じるでしょう。

味噌のバリエーションを楽しむなら、麹味噌がおすすめです。

麹味噌の効能・特徴

麹味噌の名前をつけるに値するのは、麹にこだわり、伝統的な製法で丁寧に作られた味噌でしょう。

伝統的な味噌には、いくつかの種類が存在します。

ここでは、流通量が比較的多い4種類の味噌について特徴や効能を紹介します。

米味噌

日本の広い地域で作られ、最も多く流通しているのが米味噌です。

米味噌は大豆と塩、さらに蒸し米に麹菌を繁殖させた米麹を原料としています。

米のでんぷんに由来する甘みが感じられることが、米味噌の特徴です。

赤味噌、白味噌という言葉を耳にしたことがある人も多いでしょう。

赤味噌と白味噌は、どちらも米味噌に分類されます。

米麹の割合が多く、完成までの期間が短いのが白味噌です。

白味噌にはGABAと呼ばれる成分が多く含まれるため、リラックス効果が期待できます

一方、赤味噌は米麹よりも大豆の割合が多く、長期間熟成して作られます。

赤味噌に特徴的な濃い色は、長い熟成期間中に生じるメラノイジンという物質が原因です。

メラノイジンには抗酸化作用があるため、紫外線のダメージから肌を守り、老化を防ぐ効果が期待できます

さらに食物繊維と似た働きをするので、整腸作用も見込めるでしょう。

麦味噌

大豆と塩、麦に麹菌を繁殖させた麦麹を原料とするのが麦味噌です。

九州・中国・四国地方で作られることが多く、麦に由来するこうばしい香りや豊かな風味、甘みが感じられます。

麦味噌は、麦に由来する食物繊維であるβグルカンが多く含まれます。

βグルカンには、体の免疫力を高める作用が期待できます。

ほかにも腸の中でコレステロールを吸着して排出する作用、血糖値の上昇を緩やかにする作用といった健康効果が見込める栄養素です。

豆味噌

豆味噌は、大豆に麹菌を繁殖させた豆麹と塩から作られます

豆味噌がよく使われるのは東海地方であり、八丁味噌が有名です。

豆味噌は、甘みが少なく濃厚なコクが感じられます。

豆味噌が濃い色をしているのは赤味噌同様、抗酸化作用が期待できるメラノイジンを含んでいるためです。

米味噌と麦味噌より原料に占める大豆の割合が多いので、大豆由来のたんぱく質が比較的多く含まれます。

調合味噌

米味噌・麦味噌・豆味噌のうち、2種類以上を混ぜ合わせて作られるのが、合わせ味噌とも呼ばれる調合味噌です。

原料となった味噌の風味が重なり、奥深い味わいが楽しめます。

味噌を混ぜ合わせることでマイルドな味になるため、単体ではくせを少し強く感じる味噌も食べやすくなります。

OMISONOMORIおすすめ!麹味噌の種類別の使い方

実は、おみそは味噌蔵ごとに塩味・旨味・酸味・香りが異なることを私は数年前に知りました。

また、地方、地域ごとに使用されているお味噌も異なります。

ワインの試飲会のように、お味噌を食べ比べる機会が私たちの周りにはないため、一家庭に決まった1種類のお味噌が使用され続けているのではないでしょうか

お味噌の原料は、大豆・麹・食塩のみのシンプルなものですが、原料や配合、環境(温度や湿度など)、様々な条件によって個性豊かなお味噌に仕上がります

では大まかに、そんな魅力的なお味噌ごとのおすすめな使用法をご紹介します。

その前に!必ず試していただきたいこと、お味噌を頂く際の一番のおすすめは、『直みそ』です

購入したてのお味噌を少量すくって味わってください。

次に、出汁を入れず、適量のお湯で溶いて飲んでみることです。

これでお味噌の魅力が伝わること間違いなし!

米みそ

米みそは、「甘みそ」「甘口みそ」「辛口みそ」の3種類に分けられます。

甘みそ

白味噌:代表的なものとして京都の「西京みそ」が挙げられます。

お雑煮、お魚・お肉の西京焼き、乳製品に糖質と甘みそを加えたアイス、あんこに混ぜて和菓子、チーズケーキやマフィンもおすすめです。

★OMIONOMORIでは米#4(食塩相当量100gあたり3.4g)に該当します。

甘みそレシピ 関西風お雑煮(1人分)

材料

    • 人参 1/4本
    • 大根 50g
    • 丸餅 1個
    • 水 150ml
    • 米#04 大さじ3
    • 昆布 5cm

作り方

  1. 水150ml、昆布1枚(5㎝)で出汁をとります。
  2. 大根3㎝、人参2㎝をイチョウ切りに切って下茹でし、丸もち1個は程よく焼いておきます。
  3. 出汁が取れたら、米#4を溶きいれ、味を見ます。
  4. 下茹でした野菜を入れます。※沸騰させないように注意!
  5. 温まったらお椀に盛り付けて完成です。

 

赤味噌:今では貴重な東京都の「江戸甘みそ」が代表例です

お肉やお魚との相性が良く、とても甘味の強いお味噌のため、辛口みそと合わせて使用することも多くあります。

煮込んでも風味が落ちないのは特長です。

江戸甘みそレシピ 土手鍋(2人分)

材料

    • 牡蠣 200g
    • 長ネギ 1/2本
    • 白菜 200g
    • 春菊 1/2袋
    • ゴボウ 2枚
    • しいたけ 1パック
    • 木綿豆腐 1/4丁
    • しらたき 1/2~1袋
    • 江戸甘みそ 大さじ8
    • ★米#1.#2.#3 大さじ2
    • 〇カツオ昆布だし 800ml
    • 〇みりん大さじ1
    • 〇酒 大さじ1
    • 〇生姜汁 小さじ1

作り方

  1. 牡蠣をきれいに洗い水気を切っておきます。
  2. 野菜は食べやすい大きさに切り、江戸甘みそと★のお好みのナンバーズを混ぜておきます。
  3. 〇を合わせて鍋に入れて火をかけ、沸騰したら江戸甘みその半分量を煮溶かします。
  4. 残りのお味噌は鍋の縁周りに塗りつけて、味噌の土手を作り、バーナーまたはオーブンレンジでお味噌の表面を固めるように焼き目を付けます。
  5. 味噌土手より1cmほど下までだしを入れて、具材を入れて火にかけます。
  6. 周りの土手みそを溶かしながら煮立てて完成です。残っただしは、注ぎ足しに使用しましょう。

 

甘口味噌

甘みそと辛口みその中間タイプ。お味噌汁~焼き物・煮物など万能なお味噌です

淡色味噌:代表例として静岡県の「相白みそ」などが挙げられます。

赤味噌:代表例として徳島県の「御膳みそ」などが挙げられます。

★OMISONOMORIのお味噌(食塩相当量100gあたり8~10g)は、この種類に該当します。

辛口味噌

米みそで最も一般的な味噌。

お味噌汁の他、味噌煮、マヨネーズに合わせてディップソース、味噌おにぎり、肉みそ、にんにくなど加えた「おつまみそ」などにおすすめです。

淡色味噌:代表例として長野県の「信州みそ」などが挙げられます。

赤味噌:代表例として宮城県の「仙台みそ」などが挙げられます。

麦みそ

ハンバーグや麦のプチプチ食感を活かしたドレッシング、サツマイモや納豆のお味噌汁にもよく合います。

豚肉・黒糖と合わせた「豚味噌」は鹿児島県の郷土料理として有名です。

淡色味噌:代表例として中国・四国・九州地方の「麦みそ」が挙げられます。

赤味噌:中国・四国・九州地方の「田舎みそ」、 北関東の群馬県「十石みそ」が挙げられます。

麦みそレシピ 豚味噌※作り置きOK

材料

    • 豚肉薄切り(バラ肉)200g
    • すりおろし生姜 30g
    • 麦#5.6.7.8(お好みの麦みそ) 大さじ10(お肉と同量)
    • はちみつ 大さじ3
    • 黒糖(または、ざらめ) 小さじ1
    • みりん・酒 大さじ3

作り方

  1. 豚肉を細かく刻み、生姜と一緒に炒めます。
  2. 豚肉から油が出てきたら、麦みそ、はちみつ、酒、ざらめ、みりんを加えてじっくり炒めます。
  3. 全体がペースト状になったら完成です。
  4. ※お好みで、にんにくやかつおぶし、コチュジャン、鷹の爪などアレンジもおすすめです。

 

豆みそ

愛知県、岐阜県、三重県で生産・消費されています

煮込むほどに旨味やコクが強くなり、代表的なものは、味噌煮込み、土手煮、味噌田楽、味噌かつです。

お味噌汁は赤だしと言われ、カレーやビーフシチューなどの隠し味にも使われています。

豆みそレシピ 赤だし(2人分)

材料

    • 豆腐1/2丁
    • なめこ 30g
    • 刻みみつば 2本
    • だし汁 300ml
    • 豆味噌(八丁味噌) 大さじ2.5
    • 粉山椒 少々

作り方

  1. なめこを水で洗い水気を切っておきます。
  2. 豆腐は好みの大きさに切ります。
  3. 鍋に一番だし汁を入れ、中火で煮立ったら、味噌を溶きます。
  4. なめこと豆腐を入れて、温まったらお椀に盛り付けます。
  5. 三つ葉をのせて、粉山椒を振りかけて完成です。

 

甘口味噌と辛口みそは、Instagramを参考にしてください♪

まとめ

麹とは、米・麦・大豆などに麹菌が繁殖したものであり、味噌をはじめとする日本特有の発酵食品になくてはならない存在です。

味噌の豊かな風味は、麹が作り出した酵素によってもたらされています。

用いる麹の種類により、味噌の味わいや栄養価は異なってきます。

個性的でおいしい味噌を作るには、麹の力が欠かせません。

麹は、陰ながら私たち日本人の食生活を支えてくれる存在なのです。

Back to blog