森 美樹(管理栄養士)
茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。 食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。
味噌の種類とは
味噌と一口に言っても、日本全国に数え切れないほどの種類が存在しています。
まずは味噌選びの基準となる、原料や製法の違いによる分類を知りましょう。
本物の味噌とは
毎日使う調味料だからこそ、安心安全で体によい「本物の味噌」を使いたいものです。
しかし市販の味噌の中には、だしが入っていたり添加物を使用していたりするものがあります。
本物の味噌を選ぶときは、公正取引委員会に認められた表示規約に則ってパッケージに記載されている「生みそ」「天然醸造みそ」「手造りみそ」という文字を探してみてください。
生みそ
生みそは、出荷の前後で加熱処理殺菌を施していない味噌に認められた表示です。加熱処理は味噌の保存性を高めるために行われますが、味噌に含まれる麹菌や乳酸菌といった有用な菌まで殺してしまいます。
生きた菌を摂取したい場合は、加熱殺菌されていない生みそを選びましょう。
天然醸造みそ
天然醸造みそは、加温して発酵を促進していない、かつ添加物を使用していない味噌に表示される文言です。
味噌の発酵時に温度を高めると、菌が活発に動いて発酵が進み、短期間で味噌を製造できます。
加温すると味噌の生産量を増やしつつコストダウンできますが、味や香りは天然醸造みそに及びません。
手造りみそ
天然醸造みその基準を満たし、かつ伝統的な手作業で作られた麹を使用した味噌が、手造りみそです。
手作業で丁寧に作られた麹を使っているため、手造りみそは大量生産できません。
こだわりを持った小規模の味噌蔵で主に作られている、希少な味噌です。
体にやさしく、風味豊かでおいしい味噌を生活に取り入れたいときは、生みそ・天然醸造みそ・手造りみそといった表示がされている本物の味噌を選んでみてください。
味噌の種類
味噌は、原料となる麹の種類でも区別できます。
米麹は、蒸した米に麹菌を植えつけて菌を繁殖させて作ります。
米ではなく大麦に麹菌を植えつけた麦麹を使い、大豆・塩と合わせて発酵させて作られる味噌が「麦みそ」です。
大豆に麹菌を植えつけた豆麹は、「豆みそ」の原料になります。
麹の違いが味噌の味わいに与える影響は、少なくありません。
地域ごとの味噌の種類
米みそは最も多く生産されている味噌であり、日本各地で作られています。
地域によって味わいに差がありますが、概して米の甘みが感じられるのが特徴です。
九州・中国・四国地方で主に作られている麦みそは、麦に由来する芳ばしい香りや豊かな風味、甘みが感じられます。
東海地方でよく見られる豆みそは熟成期間が長いため、甘みが少なく濃厚なコクがあり、色が濃い点が特徴です。
味噌の熟成期間や原料に占める麹の割合などによっても、味噌の味わいは異なります。
まずは基本的な味噌の種類を知り、好みの味噌を見つける手がかりにしてみてください。
味噌を買うときのポイント
いざ味噌を買うとなると、味噌のパッケージや販売サイトのページに、味噌に関する様々な情報が書かれていることに気づくでしょう。
ここからは、市販の味噌を買うときにチェックしてほしい表示について解説します。
パッケージの原材料
味噌を買うときは、パッケージに記載された原材料を必ず確認してください。
原材料と添加物
一般的な米みそは、大豆・米麹・塩さえあれば作れます。
この3つの原材料以外が記載されていれば、その味噌には余計なもの、つまり添加物が入っていることになるのです(なお原材料表示では米麹は米、麦麹は麦と表示されます)。
味噌によく使われる添加物には、アミノ酸などの調味料、保存料、ビタミンB2、酒精があります。
調味料はうまみを加えておいしく感じさせるため、保存料はより長い期間保存できるようにするための添加物です。
本来、肉や魚などの食品に含まれる栄養素であるビタミンB2は、添加物として利用される場合、人工的に作られたものが使われます。
ビタミンB2は水に溶けると黄色に発色するため、食品をおいしそうに見せる着色目的で使われることがほとんどです。
酒精
酒精とは「酒」の文字が使われていることから連想できるように、アルコールのことを示しています。
酒精は発酵を止めるために使われる、添加物の一種です。
酒精を加えない味噌は、販売されている容器の中で発酵を続け、発酵中に発生した二酸化炭素で容器が膨張して破裂する危険があります。
酒精を添加することで味噌に含まれる菌の活動を止め、発酵を中断させて容器の破裂を防いでいるのです。
有益に思われる酒精ですが、健康によいとされる微生物を殺してしまうデメリットがあります。
アルコールの臭いが味噌に付く、味噌本来の風味が落ちてしまうといった難点があることも否めません。
味噌本来の味わいを楽しみ、健康効果を得たいのであれば、酒精を使用していない味噌をおすすめします。
塩分の表示にも気を付ける
高血圧を気にする人や腎疾患を持つ人の中には、味噌は塩分が多いので控えたいと思っている人も少なくはないでしょう。
たしかに、味噌にとって塩は欠かせない原材料です。
しかし含まれる塩の量は味噌によって違いがあり、市販されている味噌の中には塩をできるかぎり減らして作られた減塩味噌もあります。
一般的な味噌の塩分濃度は12%前後ですが、減塩味噌の塩分濃度は8〜10%と低めです。
減塩味噌は薄味でおいしくないのでは、と思うかもしれません。
しかし近年は製造技術の進歩により、普通の味噌に引けを取らない減塩味噌が増えています。
塩分の摂取量を気にしている人は、減塩味噌を選択肢に加えてみてください。
OMISONOMORIおすすめ!味噌の選び方
ここまでに解説してきた味噌の種類をふまえて、より具体的な味噌選びのポイントを紹介します。
この選び方を参考にして、お気に入りの味噌を見つけてみてください。
味噌選びならこの3つで確認!
味の好み
前述のように、味噌は使用する麹によって米みそ・麦みそ・豆みそに分けられ、地域によって主流となる味噌は異なります。
生まれ育った地域の味噌に愛着がある人も、多いのではないでしょうか。
米みそ・麦みそ・豆みそはそれぞれ味わいに大きな違いがあるため、味の好みを味噌選びの判断基準にしてもよいでしょう。
健康・美容効果
健康や美容への効果で、味噌を選ぶこともできます。
塩分の摂取量を控えたい人は、減塩味噌がおすすめです。
赤味噌の健康・美容効果
長期熟成の証である濃い色をしている赤味噌は、メラノイジンを豊富に含みます。
メラノイジンは抗酸化作用があり、動脈硬化の予防やアンチエイジング効果が期待できる成分です。
赤味噌には、一般的に熟成期間が長い豆みそや、色が濃い一部の米みそが分類されます。
食べ物から老化を抑制したい人は、赤味噌を選んでみてください。
白味噌の健康・美容効果
赤味噌とは反対に色が薄い白味噌は、麹が多く使われているため、麹の甘みをしっかりと感じます。
さらに麹由来の成分、GABAの含有量が多いことも白味噌の特性のひとつです。
GABAには緊張を和らげてリラックスさせる作用があるため、安眠効果が期待できます。
米みそのうち、熟成期間が短く淡いクリーム色をした味噌が白味噌に分類されます。
睡眠の質を高めたい人は、夕飯に白味噌を使った味噌汁を飲むとよいでしょう。
料理に合わせて
調味料のひとつである味噌は、味噌汁だけでなく多彩な料理に使えます。
味噌鍋や味噌煮込みうどん、どて煮などの煮込み料理におすすめなのは豆みそです。
コクがあり濃厚な味わいの豆みそは、加熱しても風味が飛ぶことなく、煮込むほどにおいしくなっていきます。
野菜スティックのディップにするなら、麦味噌がよいでしょう。
ほどよく残っている粒の食感を楽しめるうえに、甘みのある麦味噌の味わいが野菜とよく合います。
味噌汁をはじめとした幅広い料理に使いたい場合は、どのような料理にも好相性の、くせのない米みそがおすすめです。
2種類以上の味噌をブレンドした合わせ味噌も、様々な料理に使いやすいでしょう。
合わせ味噌は、味噌同士の風味が溶け合った奥深いうまみが特徴です。
角が取れたマイルドな味わいなので、食材の味を引き立てつつ、美味しい料理に仕上げてくれます。
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是非一度お試しください。
まとめ
スーパーの店頭に並ぶものだけでなく、インターネットを介して日本全国のバラエティ豊かな味噌を簡単に購入できる現代。
無数にある味噌の中から、自分の好みや目的に合ったものを見つけるのは至難の業のように思われます。
しかし原料や製法、健康効果、料理との相性といった味噌の特性を知れば、味噌選びが楽になるでしょう。
今回紹介した味噌の分類や選び方を参考にして、まずは気になる味噌の味を確かめてみてください。
いくつかの味噌を試すうちに、あなたの嗜好に合う味噌が見つかるはずです。
様々な味噌との出会いを通して、あなたの生活に寄り添うお気に入りの味噌が見つかることを願っています。