森 美樹(管理栄養士)
茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。 食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。
味噌の発酵とカビについて知ろう
味噌は日本料理でよく使われる発酵食品です。
私たちにとってとても身近な存在ですが「発酵食品」について、どのくらいご存知でしょうか。この記事では、味噌の発酵過程やカビの種類、管理方法について詳しく解説します。
味噌の発酵過程
味噌は大豆、麹、塩を主原料として作られています。
発酵過程では、麹菌の酵素により、米や麦のでんぷんをブドウ糖などの甘みに変え、大豆のたんぱく質をぺプチドやアミノ酸の旨みに、脂質を分解して香りの元にします。酵母菌はブドウ糖などをアルコールと二酸化炭素に分解し、みそ特有の香りを作り出します。
熟成においては、有用徴生物として乳酸菌、酵母がスターターとして広く利用され、発酵熟成によって食材の栄養素を体に吸収しやすくします。
味噌のカビの種類
味噌は発酵熟成過程でカビが発生することがあります。味噌に生えるカビには3種類あるといわれています。一般的には、白カビと黒カビがよく見られます。
白カビは麹菌が正常に発育することによって発生し、味噌の表面に白い斑点として現れ、これらは「産膜酵母」と呼ばれます。酵母菌なので害はありません。
また黒カビは、温度管理や湿度の問題などにより発生し、味噌の表面を黒く汚すことがあります。これは味噌が「酸化」し、アミノ酸が増えてしまったことが原因です。
そして、青カビ…
この青カビには要注意です。
毒性があり、安全なものではありません。
もし見かけたら、きれいに除去する必要があります。
味噌の保管方法
味噌などの発酵食品は適切な管理が重要です。
以下、3つのポイントにご注意ください。
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衛生管理
生きた味噌を取り扱う際には、清潔な環境が必要です。使用する器具だけでなくキッチンやお味噌を扱う作業場は、きれいな環境に整えましょう。 -
温度と湿度管理
味噌は発酵熟成のために適切な温度と湿度が必要です。発酵にかかわる微生物たちの最適な温度は25〜30度程度、15度以下になると発酵しづらくなります。 -
表面の管理
味噌は「嫌気性発酵」のため、酸素が苦手です。そのため清潔な環境で密閉させて育てる必要があります。
万が一、味噌の表面にカビが発生した場合は、早めに取り除きましょう。カビが深く侵入していなければ、表面を削り取ることで問題を解決できます。
通常、味噌の食塩相当量は100g中12〜13gです。
塩は殺菌効果が高いので、腐敗やカビの発生を防いでくれますが、
10パーセント以下の減塩みそはカビが生えやすくなります。
7月〜9月は、気温や湿度が高く、微生物にとって最適で心地よい季節と言えます。
味噌に限らず、食品の衛生管理を見直し、細菌性の食中毒にも是非ご注意ください!
まとめ
味噌は日本が誇る発酵食品です。発酵熟成する過程でカビが発生してしまうことはありますが、適切な管理を行うことでカビの発生を最小限に抑えることができます。衛生管理や温度・湿度管理、表面の管理に注意し、美味しい味噌を存分に楽しんでください♪