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減塩みそから考える小児のアレルギー

小児アレルギー罹患者数

監修者

森 美樹(管理栄養士)

茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。

はじめに

子どもから大人まで全年齢を対象とした調査結果によると、日本人に最も多いアレルギー疾患は花粉症(39.0%)で、次いでアレルギー性鼻炎(27.5%)、アレルギー性結膜炎(19.5%)、アトピー性皮膚炎(15.5%)、食物アレルギー(15.1%)と言われています。また、3 歳児の半数以上が「何らかのアレルギーの症状」を経験しているという調査結果もあります。

子育て世代にとって、小児のアレルギーは深刻な懸念事項かと思います。今回は、小児のアレルギーに焦点を当て、お子さんの健康や健やかな成長のヒントになればと思います。

小児のアレルギーの現状と増加要因

前述の通り、近年小児のアレルギーが急増しています。この増加の背景には複数の要因があるとされ、遺伝的要素や環境要因、食事の変化が小児のアレルギー発症のきっかけになっていると言われています。次に、これらの要因について詳しく説明します。

アレルギー増加の要因

  1. 遺伝的要素
    遺伝的要因は小児のアレルギーに関連する重要な要因の一つです。親や家族にアレルギーが多い場合、子供がアレルギーを発症するリスクが高まり安くな、特定の遺伝子の変異は、アレルギーに対する感受性を増加させるとされています。
  1. 環境要因
    環境要因も小児のアレルギー増加に影響を与えるとされています。現代の生活環境では、化学物質や汚染物質にさらされる機会が増加しており、これがアレルギーのリスクを高める可能性があります。また、過度な清潔さや免疫系への刺激の不足も、アレルギー発症に寄与すると考えられています。
  1. 食事の変化
    食事環境の変化も小児のアレルギーへの関与が指摘されています。西洋型の食事パターンが普及し、加工食品や高糖分食品の摂取が増加しています。これにより、免疫系が過剰に活性化され、アレルギーの発症リスクが増す可能性があります。
  1. 早期の食物曝露
    幼少期にアレルギーの要因になるような食物に早期に曝露されることが、アレルギー発症リスクを増加させることがあります。

食の欧米化とアレルギーの関係性

子供たちの食事の欧米化や加工食品の摂取量増加と、小児のアレルギーの関係性が指摘されています。高脂肪、高糖分、加工食品の摂取が増加し、これがアレルギーのリスクを高めているとされています。欧米化した食事環境とアレルギーの関連性について詳しく見ていきましょう。

  1. 高脂肪、高糖分、加工食品の摂取の増加
    欧米化した食事により、高脂肪、高糖分、加工食品を摂取する機会が増加しています。これは、ファストフード、加工肉、スナック菓子、糖分の多い飲料などが広く普及していることを意味します。これらの食品は通常、高カロリーで栄養価が低いため、高頻度で子供たちの食事に取り入れると、栄養不足や肥満のリスクが高まると言われています。

  2. 栄養の不均衡
    欧米化した食事はしばしば栄養の不均衡をもたらします。過剰な糖分や脂肪を摂取する一方で、必要な栄養素の摂取が不足することがあります。特に、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの重要な栄養素が不足すると、免疫系が適切に機能せず、アレルギー反応が増大するリスクがあります。

  3. 免疫系の影響
    欧米化した食事は、免疫系にも影響を与えると言われています。過剰な糖分や脂肪の摂取は、慢性炎症を引き起こす可能性があり、これはアレルギー反応のトリガーとなります。さらに、食事中の添加物や保存料などの化学物質も、免疫系に対する刺激となり、アレルギー症状のリスクが高まるとされています。

マイクロバイオームとアレルギーの関係性

アレルギーとマイクロバイオームの関係は、近年の研究で注目されており、マイクロバイオームとは体内の特定の部位や器官に存在する微生物の生態系を指します。特に腸内に豊富に存在する微生物の集合体であり、これらは細菌、ウイルス、真菌などが含まれます。腸内のマイクロバイオームは、宿主(人間などの動物)と共生的な関係を築き、健康に重要な役割を果たすとされています。

主な特徴と機能

  1. 免疫系の調整
    マイクロバイオームは免疫系の調整に寄与し、特定の微生物が免疫応答を刺激することで炎症を抑制したり、病原体に対する防御機構を向上させる役割があると言われています。
  1. 栄養素の代謝
    腸内の微生物は食物の一部を代謝し、宿主に有益な栄養素やショートチェーン脂肪酸を生成することで、腸の健康を維持すると言われています。
  1. アレルギーの予防
    適切なマイクロバイオームはアレルギー反応を抑制する可能性があります。免疫系の正常な発育をサポートし、過剰なアレルギー反応を防ぐ助けとなり得るとされています。
  1. 精神的な健康への影響
    最近の研究では、腸と脳の相互作用が精神的な健康にも影響を与えることが示唆されています。マイクロバイオームはストレス応答に影響を与え、うつ病などの精神疾患に関与する可能性があります。

マイクロバイオームに与えるみその効果?

前述のマイクロバイオームがアレルギー予防に繋がるとされており、良好な腸内環境を整えるために日本の伝統的調味料である『みそ』を用いることで得られる効果について考えていきます。
  • 発酵プロセスと微生物の多様性
    味噌は大豆や米などを発酵させて作られます。この発酵プロセスには、乳酸菌や酵母などが関与します。これらの微生物が豊富に含まれる味噌は、摂取することで腸内の微生物多様性を促進する可能性があります。
  • プロバイオティクスの提供
    発酵食品である味噌には、プロバイオティクスと呼ばれる有益な微生物が含まれています。これらの微生物は腸内の健康をサポートし、免疫系の活性化や炎症の抑制に寄与する可能性があります。

減塩や減塩みその有効性と小児の食事 

塩分摂取の過剰は、小児の健康に悪影響を及ぼすことが知られています。塩分は、高血圧や心臓疾患のリスクを増加させるとされています。そのため、減塩食品や減塩みそを使うことは大人だけでなく小児の食事にも重要なこととされています。
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減塩するメリット

  1. 高血圧の予防
    高塩分の食事は高血圧の主要な原因とされています。小児期から塩分摂取を制限することは、将来的に高血圧を予防する助けとなり得るとされています。
  1. 心臓疾患のリスク低減
    減塩は心臓疾患のリスクを低減させると言われています。塩分の摂取を制限することで、血圧が正常範囲に保たれ、心臓に対する負担の軽減が見込めます。
  1. 腎臓保護
    過剰な塩分摂取は腎臓に負担をかけ、腎臓機能の低下を招くことがあります。減塩は腎臓の健康を保護するために大切な観点と言われています。

『減塩』みそをおすすめするワケ

  1. 風味を維持
    減塩みそは、塩分を削減しつつも、日本料理の風味と旨味を感じることができ、子供の頃から多様な風味を感じたり、バリエーションを培うことに繋がります。
  1. 塩の代替
    減塩みそは、料理の塩の代替として使用できます。そのため、料理に旨味を加えつつ、過剰な塩分摂取を防ぐことができます。

小児の食事に組み込む方法

  1. 塩分摂取の意識
    親や保護者は、子供たちの塩分摂取に注意を払うことが重要です。食品のラベルを確認し、高塩分の食品を避けるようにしてみましょう。

  2. 減塩みその選択
    減塩みそを使用することで、子供たちの食事においしいみそ汁や料理を提供できます。風味を損なわずに健康的な食事を楽しむことができます。

まとめ

近年、小児のアレルギーは増加の一途をたどっています。親や家族のアレルギー歴、現代の環境の変化、欧米化した食事が子供たちのアレルギーの増加の要因になっているとされています。

塩分の過剰摂取は大人だけでなく小児の健康に悪影響を及ぼすと言われており、減塩の利点は高血圧や心臓疾患の予防、腎臓保護に繋がるとされています。マイクロバイオームは腸内の微生物の生態系で、小児のアレルギーへの関与も示唆されています。

発酵食品は健康的なマイクロバイオームを促進し、子供たちの免疫系をサポートするという研究があり、減塩みそはうま味により、塩を減らしても満足度の高い味わいになります。過剰な塩分摂取に注意し、減塩食品や減塩みそを積極的に取り入れ、子供たちに健康的な食事環境を提供することが大切とされています。

小児のアレルギー予防と健康的な食事環境を整えることで、親や保護者、子供たちが健康な未来を築くヒントにしてみてください。

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