透析患者に必要な水分制限・塩分制限の重要性と具体的な調理の工夫
透析における水分制限とは
なぜ透析では水分制限が必要なのか?
慢性腎不全の進行によって人工透析が始まると、腎臓の機能が著しく低下し、体内の水分や老廃物を排出する力が失われます。
その結果、余分な水分が蓄積しやすくなり、心臓や肺、血圧に大きな負担をかけてしまうのです。
特に肺水腫やむくみ、高血圧のリスクが高まり、透析中の血圧低下や気分不良にもつながるため、摂取する水分量を厳密に管理する必要があります。
ドライウェイトとは?
透析治療では、ドライウェイト(Dry Weight)と呼ばれる「むくみのない理想体重」が設定されます。
この体重は、体内に余分な水分がない状態を示し、透析によってその目標値に近づけることが求められます。
透析前後の体重変動は、ドライウェイトを基準として±3〜5%以内が望ましいとされており、水分制限の目安となります。
水分管理のポイントと注意点
水分制限の基本
水分制限を守るには、直接的な飲水量のコントロールに加え、食品中に含まれる水分にも注意が必要です。
たとえば以下のような対策が有効です。
- 果物や豆腐、ゼリーなどの水分含有量の高い食品を摂りすぎない
- 飲み物は冷たいものよりも、温かいお茶などで少量でも満足感を得る
- 1日あたりの飲水量(例:500ml+1日あたりの尿量)を決めて守る
- のどが渇いたときは、氷をなめて対応する
- うがいも飲水に含まれる(約10ml)ことを意識する
食品中の水分に注意
ご飯は炊飯時に水を吸収するため、比較的水分が多い主食です。
1日3食すべてを白米にするのではなく、パンや餅など水分が少ない食品を組み合わせることで、自然と水分摂取量を抑える工夫ができます。
塩分制限が水分制限にもつながる理由
なぜ塩分を控えるとよいのか
塩分を多く摂取すると、体は自然に水分を欲するようになります。
のどの渇きが強まり、結果として水分摂取量が増えてしまうのです。
そのため、水分管理と塩分制限はセットで考えることが大切です。
塩分を控える食べ方の工夫
- 醤油やソースは直接かけず、小皿にとってつけて食べる
- 加工食品(ウインナー・かまぼこ・漬物など)はできるだけ避ける
- 汁物(ラーメン、うどんなど)は控えめにし、汁は残す
- 外食時は単品よりも定食を選び、塩分の多い副菜は控える
調理の工夫で塩分を減らす
- 調味料を計量スプーンで使用し、目分量を避ける
- 酸味(酢・すだち・レモン)、香味(からし・しょうが・スパイス)を活用する
- だしの旨味を活かして、塩分を減らしても満足できる味に仕上げる
- 減塩調味料を日常的に取り入れる
透析食における味噌の活用法
味噌は塩分が多い?実はそうでもない
味噌は塩分を含む発酵食品ですが、だしの旨味と組み合わせることで塩分を控えつつ美味しさを維持することができます。
特に味噌汁は、以下のような点で他の汁物よりも優れています。
味噌汁の塩分量の目安
- 味噌汁(小さじ2杯の味噌使用):約1.5gの塩分
- コンソメスープ:約2.3g
- わかめスープ:約3.4g
このように、味噌汁は塩分量が比較的少なく、かつ満足感の高い汁物です。
味噌の上手な使い方
味噌は汁物だけでなく、さまざまな料理に応用できます。
たとえば
- 魚の味噌煮(さば味噌など)
- 野菜炒め(なすの味噌炒めなど)
- 味噌+ポン酢で炒め物の調味に
- 味噌+牛乳で煮込み料理に(まろやかさアップ)
- とろみ(片栗粉)をつけて味を感じやすくする
味噌は発酵食品特有の豊かな香りやコクがあり、減塩しても物足りなさを感じさせない優れた調味料です。
食事制限中でも楽しく食べるために
透析患者にとって食事制限は避けられませんが、正しい知識と工夫次第で、毎日の食事をもっと楽しみながら健康を守ることが可能です。
特に味噌は、うま味・香り・栄養価のバランスがよく、減塩調理にも活用しやすいため、透析中の食事の心強い味方となります。
まとめ
透析治療を受けている方にとって、水分と塩分の制限は非常に重要な管理項目です。
体調を安定させ、合併症を予防するためにも、日々の食事に注意を払いましょう。
調理法を工夫したり、味噌などの発酵食品を上手に取り入れることで、制限の中でも「美味しさ」や「満足感」をあきらめる必要はありません。
今日からできる小さな工夫を積み重ね、透析中でも楽しく健やかな食生活を送りましょう。
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