透析の原因や透析にならないための対処法を徹底解説

透析の原因や透析にならないための対処法を徹底解説

監修者

森 美樹(管理栄養士)

茨城県で生まれ、子供のころから母の手前味噌で育ちました。管理栄養士としては、病院・ 特養で栄養管理に従事。40 代になり、麹の美しさに惚れ込み、お味噌の魅力を知りました。 食事制限のある方もない方も、食卓を華やかに心豊かになっていただけるよう、発酵食品を 取り入れた食習慣のすばらしさを提案していきたいです。

人工透析が必要になる原因

人工透析とは、腎臓の代わりに体の中の老廃物や余分な水分を除去する治療法を指します。

人工透析を行うと体と生活に大きな負担がかかるため、透析の導入はできれば避けたいものです。

この記事では、人工透析が必要となる原因を解説し、透析を予防するための方法を紹介します。

腎機能の低下

腎臓の主な役割は、血液中の老廃物や有害物質を濾過し、尿として体の外へ排出することです。

腎臓はほかにも、体の中の水分量を調整して血圧を正常に保つ、血液のpHを保つ、ビタミンDを活性化させてカルシウムの吸収を促進する、赤血球の生成に関与するなど、体にとって重要な多くの役割を担っています。

そのため腎臓の機能が低下すると体の中で様々な不具合が発生し、命に関わる問題になりかねません。

自分の腎臓だけで健康状態を維持することが難しくなった場合、腎機能を代替する人工透析の導入が必要になります。

腎臓が悪くなるとどうなる?

腎機能の低下が長期化し、血液中の老廃物や有害物質を排出することができなくなる疾患が慢性腎臓病です。

不要な物質が体の中に蓄積されると、全身の臓器に機能障害が起こり、尿毒症の症状が現れます。

老廃物を除去できないことによる食欲不振・吐き気・頭痛・倦怠感、水分が排出できないことが原因のむくみ・動悸・息切れ・息苦しさなどが、尿毒症の症状です。

重症になると感覚異常やけいれん、意識障害などの神経精神症状、呼吸困難などの命に関わる症状も現れます。

人工透析に至る慢性腎臓病の3大原因

人工透析の導入に至る手前にあるのが、慢性腎臓病という段階です。

この慢性腎臓病には糖尿病・高血圧・慢性腎炎という3つの主要原因となる疾患があります。

糖尿病

糖尿病は、何らかの原因でインスリンによる血糖値のコントロールができなくなり、慢性的に血糖値が高くなる疾病です。

糖尿病に起因する腎臓病は糖尿病性腎症と呼ばれ、人工透析導入に至る原因の多くを占めています。

高血糖状態が続くと、腎臓にある尿を濾過する細かな血管が傷つけられ、濾過がスムーズに行えなくなります。

血糖値をコントロールして糖尿病の進行を抑えることは、腎臓の機能保護にもつながるのです。

 

高血圧

血管の内圧が一定基準以上に高くなる高血圧も、慢性腎臓病の主要原因のひとつです。

高血圧状態が続くと腎臓内の細かな血管が圧迫され、圧力に耐えるために血管壁が分厚く、硬くなります。

この状態は、腎臓の動脈硬化である腎硬化症と呼ばれます。

腎硬化症になると血管の内腔が細くなるため血流が悪化し、血液から老廃物を取り除く濾過がスムーズに行われなくなるため、腎機能が低下していくのです。

慢性腎炎

慢性腎炎は腎臓の血管に炎症が起こる疾患であり、1年以上にわたりたんぱく尿や血尿が見られます。

慢性腎炎はひとつの疾患ではなく、複数の腎症の総称です。

早期に治療できれば回復の可能性はありますが、放置していると腎機能の低下が進行し、慢性腎臓病へつながってしまいます。

 

透析予防のための対策4選

腎機能が低下した場合の代替手段が人工透析ですが、透析にならないに越したことはありません。

日常生活に取り入れやすい、透析の予防策をご紹介します。

食生活を見直す

腎機能が低下すると余分なカリウムの排出が難しくなり、体内にカリウムが蓄積されて、高カリウム血症を引き起こす可能性が高まります。

カリウムは果物・野菜・芋類・肉類・魚類に多く含まれる栄養素です。

これらの食材の摂取量を守ることは大切ですが、調理を工夫することでもカリウムの摂取量を減らすことができます。

野菜はゆでたり、水にさらしたりすると、カリウムを流出させて除去することが可能です。

ゆでた野菜は水気を切り、しっかり絞ることで、さらにカリウムを除去できます。

塩分制限は高血圧予防だけではなく、体内の水分量を抑えて腎臓の機能を維持するためにも重要です。

塩分を摂り過ぎるとのどが渇くため、水分を多く摂取してしまいます。

体内で過剰となった水分を排出しようとして、腎臓の負担が増加してしまうのです。

塩分の過剰摂取は高血圧にもつながるので、塩分制限は必ず守りましょう。

塩分が多い料理といえばラーメンやうどんなどの麺類、梅干しやたくあんなどの漬物のほかに、味噌汁を挙げる人もいるでしょう。

しかし味噌汁1杯の塩分は1.5g程度であり、ラーメン1杯の塩分量約6gよりもはるかに少ないのです。

味噌汁は出汁のうま味をしっかり効かせることで、味噌の使用量を少なくして塩分量をさらに抑えることができます。

さらに味噌には、血圧を下げる成分が含まれているという研究結果もあります。

塩分摂取量は守りつつ、適量の味噌汁を食生活に取り入れて、バリエーションのある食事を楽しんでください。

適度な運動をする

透析予防には、適度な運動が効果的です。

疲れ過ぎない程度の有酸素運動は血圧や血糖値を下げる効果があるため、慢性腎臓病の原因となる高血圧や糖尿病の改善が期待できます。

ただし病態によっては運動を控えた方がよい場合があるので、医師の指示に従いましょう。

十分な睡眠をとる

良質な睡眠をとり、体をよく休ませることも透析予防になります。

慢性腎臓病患者のうち睡眠時間が短過ぎる人、あるいは長過ぎる人、睡眠の質が低い人は透析に至るリスクが高くなるという研究結果があります。

心地よい睡眠がとれるように日中に適度な運動をする、寝室の環境を整えるなどの工夫をしてみてください。

タバコとお酒を控える

人工透析にならないために、タバコと飲酒はできるだけ控えましょう。

喫煙は慢性腎臓病の進行に関与していると考えられているので、できれば禁煙することをおすすめします。

お酒を飲むと塩気のあるおつまみを食べたくなるので、飲酒も控えた方がよいでしょう。

 

 

まとめ

腎臓は、体内の老廃物や有害物質を濾過・排出する重要な臓器です。

糖尿病・高血圧・慢性腎炎などの疾患によって腎臓の機能が悪化し、体の状態を正常に保持できなくなると、人工透析を導入しなければなりません。

しかし腎機能の低下を抑えて、透析導入を遅らせる方法はあります。

日常生活で実践可能な透析を予防する対策について、今回はポイントを4つ紹介しました。

当ブログでは、食生活の見直しに関する情報をほかにも発信しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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